受験生の皆さん、お疲れさまでした。
受験生を支えてこられた保護者の方々、お疲れさまでした。
「今年の問題はどうだったのか?」「周りはできているのか?」気になってしまうと思います。
しかし、力の限りを尽くした受験生諸君は、まずは頭を空にして、ゆっくり休んでください。
それでも、どうしても気になるという都立高校受験生のために、当塾の独断と偏見に満ちた問題分析を掲載させていただきます。
当記事は、受験生や受験生の保護者の方に読んでいただくために執筆しておりますが、講師陣の研鑽の場でもあります。これから当塾で高校受験をされる方々のために私たちは常に最新の入試問題を研究し、指導内容に反映させるべく精進しております。毎年、予想平均点ピタリ賞を狙いつつ、好き放題に論評しつつ、都立高校入試に対して研究を深めております。ここに掲載されていることは、当塾の独断と偏見の塊であることをご理解のうえ、お読みください。

【概要】都立高校共通問題の難易度
英語  やや易
数学  標準
国語  超易
理科  標準
社会  難
5科計 易

平均点は5科合計では310点台となり、例年よりも高い平均点となる見通しです。社会が昨年度に引き続き難しかっただけで、他の4教科は標準~易しい水準に落ち着きました。国語は特に易しく、3年前(平均点81.1点)に近い水準と見ています。社会は50点台の平均点になりそうですが、その他は60点以上の平均点でしょう。5科合計は都立高校入試史上最高平均点であった5年前(H30年度入試)―323.4点―には及ばないものの310点台ではないかと思われます。
つまり、今年度の入試問題は5教科トータルでみて易しかったと言えます。倍率が高めの学校ではボーダーラインの上昇は必至です。「いつもより少しいい点だった」ということで、合格を確信して発表を迎えるとショックを受けることになるかもしれません。

【共通問題教科別分析】

英語 やや易 予想平均点63点
今年度は昨年度(平均点61.1点)からやや易化し、平均点は63点を予想する。
出題形式は概ね例年通りだった。昨年度は大問3の問6に文の並べ替え問題が出題されたが、今年度は本文の内容に合うように空欄に適切な文章を補充する問題になった。設問の難易度は、大問2がやや難しく、他は標準レベルだった。
以下、大問別に分析する。
大問1:標準
リスニングの出題形式は例年通りで、難易度は標準レベルである。選択肢の語句のほとんどが放送文の中で言及されているので、質問を正確に理解する必要がある。1回目の放送で質問を正確に聞き取り、2回目の放送で確実に正解を選べるようにしたい。
問題B Question2の記述問題では、複数形のcountriesを単数形のcountryにしてしまう誤答が見られた。文章で回答する際には、She wants them to visit other countriesが正解となるが、She wants to visit other countriesのようにthemを抜かしてしまう誤答もよく見られた。

大問2:やや難
図表の読み取りは、都立入試の英語の中で最も読解力を要する問題である。論理的に考える力と細かい情報の読み取りが求められることが多いため、成績上位の受験生でも焦って回答すると失点する可能性が高い。大問2の1は、情報の読み取りが難しかった。(A)は、watching birdsとa lot of stairsが根拠になるが、空欄の直前と直後にあるbeautiful views of natureやbusesに飛びついて他の情報を吟味せず失点した受験生が多いと推測する。(B)は、hot springsが「温泉」を意味することが分からないと厳しい。「もしそうすれば、最後に温泉を楽しむことができる」という内容が空欄の直後にあり、目的地の順序を考える設問だった。つまり、Onsen Areaが後、Mountain Areaが先になることが理解できれば正解できる。
今年度の英作文は、「日本の伝統文化を楽しむために日本ですべきこと」だった。これは学校の教科書や都立入試の長文にもよく取り上げられるテーマであり、比較的書きやすい内容だったと思われる。英作文対策は、過去問や模試で出題された内容を繰り返し解き、自分の英作文をすぐに書ける状態にしておくことが望ましい。今回と似たテーマとして、平成28年度では「外国から日本に訪れた人に日本で楽しんでほしいこと(伝統文化に限らず)」について、平成27年度では「外国人に伝えたい日本の良いところ」について出題されていた。全く同じトピックではないが、文章の書き方や構成は今年度にそのまま転用できるものもある。過去問の演習を通じて、自分の型を事前に用意しておくことが英作文で高得点を取るために有効な対策となる。

大問3:標準
出題形式と難易度は例年通りであったが、昨年度に出題された問6の文の並べ替え問題がなくなり、本文の内容に合うように空欄に適切な文章を補充する問題が出題された。大問3の問6は問題形式が変わることが多いので注意したい。その他の問題は例年通りで、難易度も標準レベルである。いずれの問題も指示語に注意して下線部の前後を丁寧に読めば、解答の根拠を見つけることができる。

大問4:標準
出題形式は例年通りで、難易度は標準レベルだった。大問4は英文の量が多いため、ほとんどの受験生は時間との戦いとなる。効率的に問題を解くコツは、本文を読む前に設問を一読し、その内容を把握しておくことだ。こうすることで、問題を解く際に注意すべき情報を理解でき、効率的に問題を解くことができる。今年度の問題では、設問に曜日や場所が含まれているものがあった。事前にその情報を知っていれば、文中の時間や場所に注意して答えを絞り込みやすくなる。このように、効率的に問題を解く方法を身につけておくことも重要である。

数学 標準 予想平均点61点
問題の構成や配点の変更はなく、毎年同じような出題で同じような問題が並んでいる。今年度に関しても特に変わった点はないが、強いてあげるとするならば比較的取りやすい出題が続いていた大問5の問1が難しくなっていた。全体的な難易度は例年通りで平均点は61点と予想する。
都立高校入試の数学は非常にわかりやすく、毎年同じ出題形式で大問の構成だけでなく小問のパターンも変わらない。そのため受験生にとっては対策がしやすく、事前に得点をある程度予測できる。
他の都道府県入試や私立高校と比較して特筆すべきは「文章問題」の出題が全くと言っていいほどないことだ。大問2で先生と生徒が示した問題について式を選ぶ問題と成り立つ式について証明する問題が各1題出題されるが、方程式の利用や関数の利用といった文章題は出題されたことがない。また大問3以降も毎年同じような問題の繰り返しで過去問や類題の演習を重ねることで得点が作りやすい(読みやすい)科目といえる。
今年度の問題については以下、大問別に難易度を提示し分析する。

大問1:標準
計算ミスを誘発する問題が若干あったものの、それも含めて内容・難易度ともに例年通りの出題であった。昨年、一昨年と比べるとわずかに易化した印象だ。中堅以上の高校の受験生は確実に満点を取りたい出題内容であった。

大問2:標準
例年通りの出題内容。昨年ほど簡単ではなかったといえるが、例年並みの難易度で、過去問の演習を繰り返していた受験生にとっては証明も書きやすい問題であった。

大問3:標準
例年通りの出題内容。問2の「線分BPがy軸により二等分される」の意味を正しく理解できた受験生にとっては簡単に取れる出題内容。問3の「面積が○倍であるときの点Pのx座標を求める問題」とともに過去何度も出題されてきた問題といえる。こちらに関しても過去問での演習がしっかりとできていた受験生にとっては点数化しやすい典型的な「都立数学」らしい出題であった。また、図2に示されているグラフの点Pが正答である「9」に非常に近く、解き方は分からないけど適当に書いたものが正解となったラッキーな受験生もいたことだろう。

大問4:易
問2①の証明問題は等しいことを示したい角が「対頂角」もしくは「平行線の錯角」のみで説明できるため、満点の証明が非常に書きやすい問題であった。過去の問題と比べてみても書かないといけない量や証明するまでの過程が非常に短く、都立数学の歴史上、最も簡単な証明問題だったといえる。

大問5:難
昨年度に引き続き問1が動点の問題。昨年度の問題は動点の動き方が分かりやすく、動点であることは問題を解くうえであまり重要ではなかった。しかし、今年度の問題は動点の動き方が少し分かりにくく、かつ展開図で考えないと解けない問題だったため多くの受験生が戸惑ったことと推察される。問1・2ともに正答率は低いことが予想される。

国語 超易 予想平均点79点
全体として非常に易しかった。塾生の自己採点では、作文の採点を厳しめにつけてもほぼ全員が80点を上回る異常事態が発生した。満点の受験生も少なからず出ていると思われる。これは3年前と同様の現象であり、歴史的高水準の平均点となった3年前と同水準の平均点となる見込みだ(3年前の平均点は81.1点)。国語で稼ぐタイプの受験生には、周りに差をつけられないという意味でやり切れない出題内容であった。また、今年度の問題で普段どおりの得点しか取れていない受験生がいたとすれば、不合格に直結しうるので非常に危険である。誰でも高得点になる易しい問題は、学力を測定する入試として適切に機能しない可能性がある。また、入試問題は「このくらいのことができればいいよ」という中学生へのメッセージであり、易しすぎる入試問題は国語力向上の阻害要因になりかねない。
恐ろしく易しい入試問題になっている要素を挙げたい。
①漢字
3年前ほどではないものの、簡単な問題が並んだ。当然、全問正解すべきである。失点したとしても読みで1問だけである。都立高共通問題の書き取りは小学生の漢字から出題されることは周知の事実なのだが、今年度の書き取りでは「いくらなんでも・・・」という問題が多すぎる。
②分量
本文の長さが近年の問題と比較して、全体として短めであった。近年は「簡単だが、分量は多い」というスピード勝負の問題になることが少なくなかったが、今年度は時間に追われる受験生はほとんどいなかったと思われる。
③選択肢の作り方
本文の難易度・設問自体の難易度以上に、「迷う選択肢があるか」ということが国語の難易度を大きく左右する傾向がある。今年度の問題では、明らかに誤っている選択肢が3本作られている問題が多く、非常に素直に選べる状態になっていた。これによって、受験生の正答率が高かっただけでなく、選択肢を吟味する時間をほとんど使わずにすんで試験時間にも余裕が生まれていたと推察される。
④作文
「情報社会をよりよく生きる」というテーマはあまりにも書きやすかった。定番のテーマでもあり、これまで模試等で触れた経験があった受験生が多かったのではないか。
⑤大問5の設問構成
「文法問題」と「仮名遣いに関する問題」が両方出題されたことで(どちらか1問の出題になることが多い)、「古文-現代語訳の対応箇所を選ぶ問題」と合わせて3問が「秒で解ける問題」になった。近年は大問5でも読解力を問う出題意図を感じることも増えていただけに、逆行する変更だと感じた。ただし、文法問題を本格的に対策していないと思われる都立共通問題校の受験生にとって、問1の文法問題は決して易しくなかったはずだ。今年度は「に」の識別の出題であり、格助詞「に」と形容動詞の活用語尾(連用形)「に」を見分ける問題。文法問題としては、定番の類と言えるが、多くの都立受験生は恐らく対策をしていない。学校で学習した際に定着させられていたかどうかで勝負が分かれたと思われる。なお、このような文法問題らしい文法問題の出題は昨年度から2年連続したことになる(それ以前の文法問題は「修飾‐被修飾の関係を把握する問題」ばかりであった)。ちなみに、昨年度は助詞「の」の識別問題が出題された。2年連続で出題されたことから、文法問題の出題が定着したと、とりあえず判断できる。来年度以降の都立受験生は用言と助詞・助動詞を中心に学習し、識別問題の対策をすることを強くお奨めしたい。短時間の学習で確実に5点とれるようになるのであれば、対策しない方がおかしい。

理科 標準 予想平均点60点
例年同様、大問1、2がいわゆる小問集合で、大問3以降は地学、生物、化学、物理と続いている。
昨年度は完答式の問題が1問も出題されず、記述の問題も消滅していたが、今年度に関しては完答式の問題が4題と記述の問題が1問出題された。その一方で、グラフや化学反応式を記す問題が1問も出題されなかった。完答式の問題が4題も復活した点や記述の問題での満点解答を書けた受験生が少ないと思われこと、ほぼ全員が正解できるような簡単な問題があまり存在しないことから、平均点は昨年度よりも下がると予想する。しかし、中堅校・上位校を受験している生徒の得点はあまり崩れないと予想されるため、昨年度の過去問以上の得点が取れていても注意が必要である。
大問1:易
昨年は5題に減っていた小問集合が6題に戻った。各問は見たことのあるような典型問題が並び、満点を取れた受験生も少なくないと思われる。当塾では最低限の暗記事項をまとめた「暗記表」を覚えることを毎年の高校受験生に課しているが、問2の火成岩の分類とでき方については「暗記表」で完全に対応ができる問題で、当塾の塾生の正答率は高かった。
大問2:やや難
例年通りレポートをヒントに解く小問集合4題。見慣れない出題が多く、知識よりも問題を正しく読む力や、情報処理能力が問われる大問であった。特に問2は文章の読解が難しく戸惑った受験生も多くいたことと思われる。
大問3:標準
問1の記述問題は「金属製のコップの表面の温度が少しずつ下がるようにしたのはなぜか」という問いであったが、この「少しずつ」という部分に対する答えが求められていた。各校の採点基準次第ではあるが、都教委発表の『採点のポイント』を見る限り「温度を下げた理由」のみの解答では部分点しかもらえないと思われる。理科の記述問題は典型問題であることが多かったが、今年度に関しては、あまり見たことのない問題が出題された。
大問4:やや易
対照実験の結果から分かることや知識として覚えるべきものが覚えられているか問われる大問であったが、前述の「暗記表」を完璧にしていた当塾の生徒は全員が全問正解(※自己採点の結果)を達成した。覚えているだけでなく、覚えた知識を正しく使うことも求められる問題であったが、一人の例外もなく全問正解できたことは非常に素晴らしく、全員を褒め称えたい。
大問5:標準
昨年度の大問5ではイオンに関する問題でダニエル電池・水の電気分解・中和の3つの実験から出題された。今年度は塩化銅水溶液の電気分解からの出題に変わったが、大問で問われているものは昨年と非常に似ていた。問2の電極が陽極か陰極か判別する問題と電流の流れる向きを答える問題は、実験結果からも正答が導けるし、問題文に「結果1から~」と書かれている点から出題者側も結果から判断することを意図していると思われるが、図1の電源装置に+と-が記されているため、知識がほとんどなくても解ける簡単な問題になってしまっている。問4は実験こそ異なっているものの選択肢の図は昨年度とほぼ同じ問題で、イオンの数の変化を問う問題であった。
大問6:標準
情報の処理も計算も必要な正答率低めの問題。例年も計算を必要とする物理の大問は正答率が高くないがそのレベルで正答率は高くならないと思われる。
問2は各抵抗の値を求めることで容易に解けるが、並列回路と直列回路の抵抗を求める計算方法を習得できていない受験生には厳しい問題であった。問3の消費電力の比を求める問題は公式を覚えているだけでは解けない難しい問題であった。

社会 難 予想平均点53点
例年と比較すれば、難しい水準であった。ただし、都立高校入試史上最低平均であった昨年度と比較すると易化した。完答式の設問が僅かに減少したことと、下位層でも得点できる設問が増加したことで昨年度ほど50点を下回る受験生は発生していないはずだ。しかしながら、自校作成校を受験するような上位層(普段90点以上をとっている人たち)にとっては、明らかに例年よりも難しく、90点以上を取れた人はほとんどいなかったと思われる。上位層は普段の過去問題の得点から5~10点程度低い得点となる見通し。昨年度ほどの低い平均点にならないものの、高得点者が少なく標準偏差が低下していると思われる。
大問1 小問集合 易
地理・歴史・公民が各1問の出題で例年どおり。全問正解が求められる易しい出題内容であった。問1は地形図で等高線を読み取る問題。大問3で出ることもある、定番といえる問題である。多少の誤答は出るかと思ったが、塾生はほぼ全員が正解していた。問2は地図を絡めた歴史の問題というのが定番であるが、今年は「わび茶」で千利休を選ぶという驚くほど簡単な問題。問3も易しいので、この大問は15点総取りできている人の方が多いはずだ。
大問2 世界地理 易
例年であれば、比較的正答率の低い問題が多い大問であるが、今年度は一転して解きやすい。問3は2019年度と同じ出題である。東南アジアの国について、位置を覚えておけばその他の知識は一切不要で解けてしまう。そのうえで、「南北に分離」というヒントも存在するので、東南アジアの国の位置が正確に記憶できていなくても解ける。明らかにヒント過多の問題である。易しく作問しすぎである。
大問3 日本地理 標準
問1は「フォッサマグナ」「やませ」などのいかにも地理の知識といった手がかりもある一方で東京までの所要時間だけでも解けてしまうという、拍子抜けする問題。これは手がかりを正確に把握する「注意力」の問題になっている。都立高校入試の特徴ではあるが、学力下位層はこのような問題で失点しがちである。問2は、受験生の正答率がかなり低そうな問題。「成田=国際線/東京国際(羽田)=国内線」ということは、東京都民としては常識的に知っていてほしいところであるが、これを高校受験生に求めるのは酷かもしれない。ただ、「日本最大の貿易港は成田空港」という受験知識は持っているべきであり、関空が空港では貿易額2番手に入ることまで知っていれば、難なく選べる。あとは、輸出品目に食品が並ぶのが那覇であるなどの細かい手がかりも有効に使える。貿易港の出題は度々あるため、貿易額ランキングを確認しておいたらよかったかもしれない。問3は論述だが、前半は容易に書ける。部分点さえもらえない受験生はほぼいないはずだ。
大問4 歴史 標準
一般的には正答率が低い大問であるが、時代と場所を押さえる学習を徹底することで、ほぼ全問取れることが多い。今年度も当塾の塾生は全問正解の人が多かった。ただし、問3の並べ替えで、アとイの順番で迷い、そこだけ確信を持てなかったという生徒が多かった。その他は、極めて基本的な事項であり、特筆すべきことはない。歴史の学習においては、時代の流れと主要年代(特に近現代)を押さえることが必須である。
例年、歴史が出題されるこの大問は、正答率が低くなっている。しかし、正しく学習すれば、全問正解も決して難しくないため、当塾では「カモ」にさせてもらっている。今年度も概ねそのような自己採点結果になっている。
大問5 公民 難
例年、正答率の高い大問であるが、今年度は一転して難しかった。問1は人権の問題であり、これは定番の出題。当塾塾生は、全員正解であった。問2が今年度の問題の中で最も難問と思われる(4択なので勘勝負)。そして、出題意図が不明との批判が多い問題である。まず、出題意図を推測すると、近年の問題ではここ2~3年で話題になった事柄が出題される傾向があり、「時事問題」的に出題しているのではないか。少なくとも全ての選択肢が公民の教科書における「公共料金」に該当し、教科書の知識だけで正解にたどりつくことはできない。コロナ禍において、医療・介護の現場においては負担増・人員不足が問題となり、診療報酬・介護報酬が改定されたことを知っていたかが問われたものと思う。このニュースを知らなかった場合の対応としては、消去法である。まず、水道料金については決定主体が地方公共団体であることから除外し、郵便料金と鉄道料金(の多く)は直近の改定が消費増税のタイミングであったことは思い返して除外できないだろうか。いずれにしても、時事問題としては難易度が高すぎるように感じる。問3は難しいものの良問と言える問題。法人税・固定資産税がそれぞれ国税か地方税かを問う問題であり、しっかり教科書で学習する内容であるもののこれに確信を持って解答できたのは上位層のみであろう。これまで、税の分類としては、直接税か間接税かを問う「誰でもできる」水準の出題しかなかったことを考えると、間違いなく難しい。法人税も固定資産税も中学生に馴染みの薄い税目であることも踏まえて、なかなか厳しいところをついてきた、という印象である。繰り返すが、上位層は得点できており、入試問題としては適切に機能している良問である。問4は書けば部分点は取れると思われる問題だが、塾生の再現答案の中には「社外取締役の役割」に触れておらず満点を逃すようなものが、結構あった。設問文に「着目する=答案に書く」ことが指示されている事項を漏れ欠けなく書くよう指導をしてきた自負があっただけに、反省させられた。塾外の受験生でも同様の減点が多いと思われる。
大問6 3分野総合 やや難
3問ともやや難しい。問1は最近よく出ている「パナマ運河」やアフリカ南部の銅、などの知識とともに手がかりになるフレーズに反応する「注意力」が必要だ。問2も完答式で正答率は低そうだ。ヒントの文から国は特定したい。そして、「リオ地球サミット」は近年よく出題されている。塾生の中には年代を覚えている者もいたが、これは明らかに少数派だろう。しかし、せめて平成の出来事であることは理解しておきたい。それが分かれば正解にたどりつけた。問3は人口ピラミッドを選ぶ問題。「65歳以上の割合は7%を超え」というヒントから正解を選べないことはないが、ミスする確率が高い。「大阪万博」から1970年であることを特定し、年代順にしたときに2番目になるものを選択するというのが間違いのないアプローチであろう。当塾の塾生は8割以上が正解していた。これは近年度々出題されている「大阪万博」の年代を把握できていたことによる。